2010年6月15日火曜日

その水は大丈夫? SteriPEN(ステリペン)の効用&誰も教えてくれない飲み水の秘密.

Denverから30分ほど南下するとアウトレットモールがあります.巨大で,好きな人なら垂涎のブランド?品がたくさん.とど的にはまったく興味がありませんが,唯一コールマンショップは例外です.

さて,ずいぶん前のことですが,キャンプ用品の何を揃えていいか全くわからないといった状態でコールマンショップを訪れてみました.ヘッドランプやらスリーピングバックやら,ストーブやらを物色しながら,”釣りをしながらキャンプしたいんだけど”と店員に聞いてみました.

親切に色々と教えてくれた上に,ここ(コールマンショップ)で買わないで道路向こうの専門店で買うといいよ.と...? 確かにここには主にファミリーキャンプ用品しか置いてないけれど,売ろうと思えばストーブとかいくらでもあります. あまりの商売っけのなさにちょっとびっくりしました. まあ,あちらの様々な店員の対応にはすぐに慣れたのですがね.

さて,道路向かいのお店ですが,バックカントリー用品が充実した専門店で,以前にこのブログにも登場しました.そこで,バックカントリーの基礎を教授してもらったのですが,水の重要性とともに勧められたのがこれです.





紫外線を使った浄水装置ステリペンです!





さて,ロッキーのアウトドアでの水の重要性はなんどか話題にしました.とても乾燥していて高地です.呼吸をするたびにどんどんと水分が失われて行きます.日本のようにそのまま飲めるようなわき水もない上に,一日に数リットルは必要な水を何日分も担いで行くことはできません.脱水になると体温調節ができなくなったり,脳梗塞になったりして大変危険なようです.ですので,バックカントリー専門店には様々なタイプの浄水器が置いてあります.MSRとかも(名前からすると)この辺をまず開発したのではないでしょうか?日本のホームページには水バッグくらいしか表示されませんが,MSRのサイトでは様々なwater purifier systemが並んでいます.


こーんな青空ですよ.

標高2700mあります.




お店に置いてある一番簡単なタイプは,水にそのまま消毒錠剤を入れる方法です.おそらく塩素系なのでしょう.

日本人ならもっと簡単な煮沸を思い浮かべるかもしれません.典型的?な日本人の僕もそう思って店員に聞くと,答えはナンセンスだそうです.(表現は忘れてしまった...)
理由は後述します.

次に目につくのが,ポンプフィルター式の浄水器です.極めて目の細かいフィルタにポンプで水を通過させて濾します.小さいゴミ,原虫,細菌は除去できますが,ウイルスの除去はなかなかこんなんなようです.フィルターの性能で様々な値段の装置があります.

原理はよくわかりませんが,MSRのMIOX water purifierは塩と電気を用いて浄水するようです.フィルターではないのでゴミはとれませんが,ウイルスまで除去できるみたいですね.


では,われらの煮沸消毒はなんで駄目なんでしょう?日本では大丈夫だったのに...

山屋の店員さんによると,煮沸消毒は10分以上沸騰させ続けないといけないから,飲み水を全部煮沸で賄うのは現実的ではないとのこと...

本当でしょうか? 今までは沸騰させたら火を止めて,それで終わりにしていて問題はなかったのですが...


ロッキーマウンテン国立公園のバックカントリーガイドを読んでみますと,以下の項目があります.

Drinking water
Always purify the drinking water you get in the backcountry/wilderness by using one of the following methods:

#1 Filter water with a portable water filter system that eliminates Giardia.

#2 Boil water for one minute, and add an additional minute for each 1000 ft above sea level (example: 10,000 ft = 11 minutes).


#3 Use water purifying tablets or drops that eliminate Giardia

煮沸消毒に関しては#2ですね.

なになに?お湯は1分湧かせば良い...なんだ. うん? 1000ft(300m)標高があがるごとに1分ずつ煮沸時間を追加しろ!? 

そう,ロッキーマウンテン国立公園は7000ftから1万ウン千フィートあります.ちょっと登ればすぐに9000ft ぐらいになって,1+9=10分煮沸が必要です...最近はジェットボイルなる新兵器もあるようですが,毎日多量の水を10分間も沸騰させつづけるのはちょっと...

店員様のおっしゃるとおりでした.そこで,店員様が進めてくれたのがこれだ!!!






紫外線で簡単に殺菌できる(当時)最新兵器です.たった90秒の殺菌で効果は抜群!

ほんとかいな? 

そうは思っても,ホーボー氏の本でも紹介されてたやつとセットで使うとかっこよさそうです.


昨日までnalgeneというブランドを知りませんでした.




ステリペンのホームページで効用を見てみると,とにかく凄い.煮沸なんて原始的なことをしてるばあいではないじゃん?と思わせます.bacteria, Campylobacter,  Cholea, Cryptosporidium, Escherichia coli, Giardia, Hepatitis, Legionella, Protozoan parasite,  Salmonella, Shigella, Viruses となんでも殺菌するようです.ですが,なんのことか全然わかりません.カタカナ読みにすると聞いたことがあるようなのもありますが,とにかくすごいんじゃないかと思わせてくれますね.

特に,Cryptosporidiumは塩素系の殺菌は効かないみたいなので,ステリペンの効果は魅力的です.


じゃあ,今までの煮沸はあんまり効果がないのでしょうか? ちょっと調べてみます.

WHOのGuidelines for drinking-water qualityを見てみると,飲み水のガイドライン*がダウンロードできます.でも,なんと英文で500ページもあります.もちろん読んでませんが,144ページには煮沸の有用性が,141ページにはいろいろな消毒法の比較が載っています.

121−144,221−294ページがバイキンマンの情報です.


消毒法の比較表ですが,方法とMaximum removal をみてください.って,見たくありませんね.

Chemical disinfection(塩素)では,クリプトスポディウムの殺菌効果が1と低いことがわかります.(2番目以降はフィルター濾過ですが,種類がいろいろあるみたいでよくわからないので省略します.)



では,ステリペンの紫外線ビーム(UV light) はどうでしょう.細菌,ウイルス,原虫ともに5+と非常に効果的なようです.



煮沸消毒(heat technologies)はどうなんでしょう?...ありました.なーーんとバイキンを退治する能力は全部9+と表中で最高値です...うーん,ちゃんと煮沸すれば(sufficient temperature and time) 非常に効果的なんですね.

*ただし,ガイドラインはアウトドアガイドラインではなく,生活用の飲料水をどうすべきかという公衆衛生上の指標です.


というわけで,はじめはステリペンは未来器具で,すごいんだよっていう自慢記事のつもりだったんですが,ちゃんとした煮沸消毒はもっと効果的なようです.(あたりまえだって?)
特にエキノコックスは熱に弱いので煮沸が有用ですよ.でも,汚染されていない水を選ぶことがもっと大事ですか...



それではちょっと知恵熱がでそうなので,ばいばいきーん...

放射線的な評価は,前述の 
WHO drinking water guideline のChapter9 Radiological aspects 197ページからです.
日本語版もありました.

1 件のコメント:

akira n さんのコメント...

素晴らしい!
いい情報を、ありがとうございます。