2010年7月11日日曜日

神秘の湖,沼沢湖

沼沢湖は思い入れのある湖です.






新潟に越して来て数年になります.やってきた当初に,せっかくはるばると越州まで来たのだから観光もしようと思ってマップル新潟観光版を購入し,付録の地図を壁に貼ってました.雪が降ると身動きができなくなりそうなこの地で,どの辺りまでなら遊びに行けるかなと眺めていたら,地図の一番はじっこに,その神秘の湖はありました.新潟県の地図なので,福島のほんとに隅っこにある湖です.そこはどう見てもダム湖ではなく,天然湖としか思えない形と周りの地勢でした.すぐそばには只見川があるけれど,どうみてもこれとは無関係の湖です.どうなってるんだろう? 道はあるのだろうか? いつかいってみたいなあというのが感想でした.

それから1年ほど経って暖かくなり始めたころに,再び沼沢湖が気になり始めてネットでしらべてみました.そこで出会ったのがBパパ様の沼沢湖編でした.美しい写真とキャンプとカヤックが衝撃的で,カヤック,キャンプ,ブログもぜーんぶやってみようと思ったのが運の尽き幸いで,いろんな発見をさせて頂きました.





湖をぼーっと眺めて,コーヒを飲みながらのんびりと過ごしていると,浅瀬で魚が騒いでいるのが見えます.早朝からずっとです.


婚姻色が鮮やかなヤマベ




釣り師の感覚とすると,朝と夕方に魚が活発になるのは当たり前ですが,もう日も十分に上っています.近づいてみても,魚は逃げません.あ,やまべだ!関東ではオイカワをやまべといいます.北海道でヤマベと言えば,山女(ヤマメ)ですね.ヤマメの降海型は桜鱒といい,北の国ではメスは海に下って成長して,遡上して産卵します.海にくだった雌鱒は巨大になり,川に残った小さな雄とつがいになるのです.ヤマベは逆に体の大きな方が雄のようです.


座って湖水に足をつけて,浅瀬でしきりに魚が騒いでるのを眺めていましたが,単に小魚が小さな虫を食べてるだけかなと思ってました.鳥たちも水面ぎりぎりを飛んでいるのは,おそらく羽化したばかりの水生昆虫を食べているのではないでしょうか.


でも,よく見ると穴を掘って,小さな魚の上でもう一匹が体を震わせています.そう,こんな所で産卵しているのです.ここは岸から1mも離れておらず,これからの季節は湖水浴で子供たち(大人も)が遊び回る砂浜です.

ヤマベの産卵は生まれて初めて見ました.桜鱒は雌が大きかったのでヤマベも同じだと勘違いしてましたが,小さい方が雌です.産卵した上に婚姻色が鮮やかな雄が放精しているみたいです.そう見ていると,魚たちの動きが全て説明できます.

産卵直後には,周囲からわっと魚が押し寄せて卵を食べているようです.卵が餌にもなっているのでしょうが,それよりも生存競争の相手を食べ尽くしているような気がします.試しにアリんこを一匹放り投げてみると,雌がゆっくりと飲み込みましたが,産卵場所に猛ダッシュで駆け寄ってくるような貪欲さはまったくありません.異種だけではなく,同種のなかでも生存競争が激しいみたいです.


中央右が産卵中のつがいです.まわりにすぐに他の魚が寄ってきます.




雄同士の争いです.右にも見ている雄がいます.
ほんとに小さなテリトリーでも,一生懸命守っているのがよくわかります.



ヤマベは,子供の頃から釣ったり捕ったりと何百匹も見てきましたが,産卵を見たのは初めてで,ちょっと放心するぐらいに感動しました.今日はカヤックしなくても満足かな,みたいな...




実は,昨年も思わぬ感動がありました.カヤック&キャンプデビューしたのは,8月初めの沼沢湖でした.初航海とテント設営もなんとか終えて,鶴の湯から帰ってくると,いつのまにかタープのロープやらバッグやらに蝉の幼虫がよじ上っています.見ているとゆーっくりと数時間かけて羽化して行きました.





朝には抜け殻だけが残っていました.虫嫌いのとど1号ですら感動のできごとでした.



奥会津,炭酸水やひなびた温泉だけでなく,いろいろな感動があるところです.今年の沼沢湖水まつりは8月の7,8日です.

0 件のコメント: