2010年12月22日水曜日

Zeiss Planar & オーバル インテンションの末裔

Carl Zeiss Makro Planar 50mmで少し撮影してきました.しばらくは不自由でもこれ一本で行こうと思ってます.

今回も,付け焼き刃の知識と聞きかじった情報に,かなりの私見を加えて書いてますので,内容に立腹しそうな方は読まずにスルーしてください.情報の信頼度にも疑問がありますのでご了承を.

カリフラワーだそうですが,抹茶味アポロチョコみたいです.
協力 A alla Z  野菜ソムリエ氏

テントの写真以外は全てD90&Carl Zeiss Makro Planar T* 2/50 ZF.2です.ブログにアップした時に彩度の劣化が著しいみたいですが,iPhoto上で見る限りは色がいいような気がしてます.



スノピはMSRの真似?                      あんまり似てないような気がする.
MSRのジオデシック構造を真似てるスノピのロースタイルが嫌い   スノピってロースタイルだったんだ? 
モステントはエクスペディション用...?            ふーん,そうなんだ?
モステントはフレームと幕の工芸作品?              激しく同意.

まさしくどうでもいい話ですが,ちょっと気になる時もあります.ジオデシックってMSR(モス?)が元祖だったけ??

実は5年ほど前にTNFのMT25を購入する際に,フラー博士のジオデシック理論をもとに開発された云々と聞いていて,それが頭の隅に残っていました.(正確にはVE25だったかも)

MT25の米国ユーザーの評価とかでも,20年使ってよかったからまたTNFにするとか読んで,そんなに丈夫で凄いテントなんだと思ってKiKisという日本食レストランのすぐ近くのTNF shopで購入した記憶があります.実際に使ってみると,とても丈夫で安心感があります.邪道ですが,コールマンのエアベッドがMT25とサイズにぴったりで,1週間ぐらい連続で寝泊まりしてもなんの問題もありませんでした.(熊に襲われる夢も見ませんでしたし...)


今は便利なネットがあるので,ジオデシック(テント)についてググってみました.TNFのサイトリチャード・バックミンスター・フラー博士のジオデシック理論とテンセグリティ理論に基づいた世界初のドーム型テントを開発したとあります.このジオデシックテントは1970年代に発売(1975)されたそうです.

これよりも10年以上も前にモスがポールテントを開発したと言われていますが,モスの一連のテントを見てみるとポールの芸術ではあるものの,ジオデシック構造とは別物だと思います.Little/Big DipperやStorm Kingはともかくとして,オリンピックなんかはふにゃふにゃですしね.

で,ノースフェイスの最初のテントと言うのが,オーバル インテンションoval inTENTion)というのだそうです.実は今も使用している人のブログを見てびっくりしました.とど達のヒマラヤンちゃんと同じ形じゃん!

色はゴールドとネイビーの2色で,夜に撮影するとまるで明かりをつけたMoken4みたいで,ブルーがめちゃくちゃかっこいいです.(人のブログですが)

初期形は幕につけられた金属リングにポールを入れるようですが,幕の破損が多かったために,スリーブ式に変更されたそうです.こうなると色以外はヒマラヤンちゃんと同じですね.

ひまらやん47って オバールインテンションに似てません?
手前のブルーシートは前室用です.
本来,このテントはこんなちゃらい使い方を目的に開発はされていません.

似ているのは当然で,

オバール インテンション → ポールスリーブ インテンション → ヒマラヤンホテル → ヒマラヤン47(ヒマラヤンちゃん)と受け継がれて行ったそうです(間違えていたらごめん).

とどのHimalayan47はMt25が手狭になってきたために買った新製品だったので,綿々と30年も受け継がれているデザインだったなんで先月まで知りませんでした.(すぐにカタログ落ちしてたみたいだし)

こういうのって後で知ってもちょっと嬉しいです.デザインは古くて中身は最新っていうのは結構好きで,クラッシックカーの中身をそっくり新車にしてあるとか(所ジョージにしかできませんが)...なので,臭くないオリンピックが発売されれば即買いなんですが...でも,3本ポールって美しいけど,構造的には弱いのかな?


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さて,やっと本題のカールツアイスです.ちょっと近所を撮影してみると,気のせいか忠実に色が再現されている気がします.この辺の感覚はWBやら他の条件を同じにして,レンズだけ変更して比較する必要がありますが,面倒なのでそこまではやりません.でも,ピントさえ合わせることができれば,見た目と同じ写真が撮れていることには安心感がありますね(気のせい?)

ブログ上では色あせしてますが,日光でベージュ色に変わった景色が良く出てました.

分解能も良いようです.これも他とは比較してませんが,感覚的には詳細な絵が撮れているような気がします.

上の写真をトリミングすると,分解能もいいようです.


ところでこれだけ有名な プラナーってなんぞね っていう疑問が湧きませんでしょうか?

Carl Zeissは眼鏡などの光学系の会社だとはなんとなく知ってましたし,名前からおそらくドイツ系ではないかと...でも,プラナーという名前を知ったのは昨年で,なにか伝説的なレンズとか...

Zeiss製品には他にも魅力的な名前はたくさんあって(数日前に聞いた),テッサーとか,ゾナー,ディスタゴン,とどゴン?などなど...


グリーンも良く出ています.


ゾナーSONNARというレンズは1930年頃にLudwig Bertele氏がとても明るいレンズを開発して,太陽の様に明るい例えから名付けられたようです.Noktonなどの夜でも撮れるというレンズと反対の発想ですね...

で,プラナーも同様に名前の如くで平坦という意味のplaneから付けられたそうです.開発は 1896年に Dr. Paul Rudolphによりますので,ずいぶんと昔のレンズです.ちなみに同博士は,今でもバリアントが良く利用されているテッサーレンズも開発したそうです.とどの防水カメラちゃんは,このテッサーレンズを利用しているそうです.(だからカールツアイスのロゴが入っているのでしょうが,100年以上も前のレンズデザイン以外にZeissは関わりがあるのでしょうか? 米国のパテントは17年後の1920年に切れてるらしいし...)

ここまではどこにでも書いてあることです.でも,何をもってプラナーはプラナーなのか?何故にこの古いデザインが有名なのかは?ちょっと調べないと分かりません.

マクロなのに遠景が得意なのでしょうか.かっちりと映っている気がします.
それとも単に遠景かつ絞っている方がピントが楽なためかな.



A history of the photographic lens (著者: Rudolf Kingslake)というちょいと古い本を紐解いてみると立ち読みしてみると,p121-122にちょうどZeiss のPLANAR LENS が説明されています.(ウェブ上でも似た記述がありますが,ソースは同一と思われます)



Dr. Paul Rudolphは,それまでのAnastigmat lensに満足しておらず,1896年にdouble-Gauss type のレンズに着目します.凹レズと凸レンズを組み合わせたガウスの最初の望遠鏡を進化させて,二組の凸レンズと一組の凹レンズを対照的に組み合わせたものです.この従来のレンズは収差が酷いために実用になりませんでした.そこで博士は凹レンズを厚くすることにより収差の原因と思われたレンズ間の空間を減らすことを試み,その結果は劇的に効果的なものだったそうです.


栃尾の棚田♡ もう,雪の季節なんですよね.



さらにレンズの材質の不十分さを補うために,buried surfaceというものを考え出しました. 要するにコーティングの先駆けのようなものでしょうか?よくわかりませんので抜粋しておきます.

buried surface: is a cemented interface separating two types of glass hang the same refractive index but quite different dispersive powers. By varying the radius of curvature of the buried surface, almost any amount of chromatic abberation could be induced at will with no effect what ever on the other aberrations.

この二つの画期的な改良が成功してPlanar Lensができあがります.

雪が凍ってGGO(磨りガラス)ですね.
寒そうな雰囲気とGGOに隠れた色が切り取られたような気がして,レンズ良しと.


要するに
Symmetrical, six element Double Gauss design  対称性の4郡6枚レンズ
thickening the negative elements         厚い凹レンズ
buried surface                 上記 (類コーティング?)

がPlanarの要素のようですが,実は six elements Double Gauss designは多数のバリエーションが開発されており,これだけでプラナーとは言えないようです.さらに,最近のPlanarをみるとシンメトリカルには見えません.(最初のプラナーは完全なシンメトリカルだったようです.)
確かにオリジナルは凹レンズが分厚いのですが,最近のプラナーを見てみると,素人目には厚くないような...

そうすると, buried surface がプラナーの特徴ということでしょうか? しかしながら,他社でもコーティングは開発されていますので,そうとも言えないと思います.



撮影素材がたくさんある,A alla Z へブランチに行ってきました.
お腹も一杯になるし.


最近のプラナー系レンズ構成をたくさん見てみると,オリジナルとは全然違うんじゃないかと思うのがいくつもあります.でも,なんとなく,こんなのがプラナーなんだなと思わせてくれる感想/印象が残りました.他社製品でも,これを参考にして開発,商品化しているものはいくつもあるそうですし,Zeiss のプラナーも変遷を遂げているので,現在のプラナーがプラナーたる配列というのはやっぱりわかりませんが...

結局のところ,前述の改良した組み合わせそのものがプラナーだったということなのでしょうか?
(この辺は本当はパテントを調べてみると良いのかもしれません.あるいは技術者に聞けば即答されてしまうことなのでしょう.)

残念ながらプラナー開発時にはコーティング技術が確立されておらず,すぐに商品化にはならなかったようです.

開放で撮影なのですが,意外と被写体深度があるようです.撮影距離のためでしょうか?
F2でぎりぎりの接写にすると,フォーカスが合うのはほんとに薄層です.



こちらもF2開放ですが,ピンは中央部だけに合っているようです.


こうやって歴史を見ると,レンズはコーティング技術が国家(軍事)機密なみにいかに大事であったか(特に20世紀初め)が想像できます.ちなみにMakro Planar T* 2/50 ZF.2T* はコーティングを示しているそうです.(まあ,何も知らないで買ったのですが...)


撮影の意味はないのですが,おいしかったから...
ピン合わせの練習ですね.

Planar T* 1,4/50以外の作例は見つかり難いので,レンズレビューとともにリンクしてみます.まあ,この手のレンズに興味がある人は,とどなんかよりもずーーーっと詳しいと思いますが...

レンズ評 いろいろあって,とても面白いです.
サンプル画像
Zeiss     Makro-Planar T* 2/50
Distagon T* 1,4/35

この辺りを読んでいると飽きませんが,時間がかかる...

そんでもって,カッコヨよさそうなのが,これ...Distagon T* 1,4/35 です.ここを書き始める前は,次のレンズはニコンのAF(できればナノクリ)って思ってましたが,調べてみるとZeissはいいなあ...(特に音がね)

これもおいしかった♡
緑と茶色を忠実に再現してますね(こじつけ)

そうそう,プラナーが開発された1896年は,冒頭のジオデシック構造のフラー博士が生まれた1895年の翌年になりますね.バック トゥー ザ フューチャー3から10年もたっていないことを考えると,ドイツはよっぽど進んでいたのでしょうか.

ちなみにジオデシック構造を考え出したのはフラー博士ということになっていますが,フラー博士の20年も前*に世界最初と言われるジオデシック構造の建造物は完成します.ええ,最初のジオデシック ドームはZeiss の技術者,Walther Bauersfeld氏によるプラネタリウムです.   と,話は振り出しに戻る...

(*だからといってフラー博士の功績が半減する訳ではなく,むしろより壮大な概念をいくつも提唱しています)

ブランチの味はにっこりマーク.
良く知りもしないレンズのこと生意気にいろいろ書きましたが,にっこりお許しあれ.

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